中国人にいつも言われること「台湾は中国の一部!」
とめどない中国人の主張!台湾は中国の一部だというのは本当か?
・45日間に及ぶ中華人民共和国の旅の終わり
・廈門で出会ったアナウンサーの中国人青年
・「中国は台湾の一部である」
・台湾の金門島へ行くことは中国出国を意味するのか
・台湾は中国ではなかった
・45日間に及ぶ中華人民共和国の旅の終わり
45日間に及ぶ中華人民共和国の旅を終わりを告げようとしていた。東南アジアの旅を終えて、ラオスから中国雲南省に入り、そこから中国南部を東へと進行、貴州省、桂林、福建省を経て、中国大陸から船でいける台湾の金門島へと抜けることで、中国の旅を終わらせる予定だった。
台湾の金門島は、ぼくが沖縄に住んでいた頃、大好きだった宜野湾の台湾料理店「花蓮」に置いていた雑誌でその写真を見て以来、ずっとずっとずっと行きたいと憧れていた場所だ。
ぼくは12月29日にフェリーで廈門から台湾の金門島へと移動するつもりだった。なぜならぼくの中国の観光ビザが12月29日までだったからだ。
中国では1日オーバーステイするごとに罰金として10000円ほど取られてしまうらしく、絶対にオーバーステイするわけにはいかなかった。ベトナムで期せずして1日オーバーステイしまった時には何のお咎めもなかったが、厳格な中国ではそのようにはいかないようだ。
しかしぼくは今回の旅で中国の大いなる魅力に気づいてしまい、出国すべき日のギリギリまで居座ることに決めた。
・廈門で出会ったアナウンサーの中国人青年
無事に予定通り中国の東南部にある福建省の廈門(アモイ)へとたどり着き、廈門のホテルにチェックインした。そこのドミトリーの部屋において、貴州省貴陽から来た中国人青年と仲良くなった。彼はなんと中国のアナウンサーをしているようで、その顔がテレビに映っている写真も見せてくれた。中国では有名人なのだろうか。
ぼくが12月29日に廈門を去って金門島に行くことと、それが中国の観光ビザが12月29日までだという理由を告げると、アナウンサーの彼はぼくにこう言った。
「台湾は中国なのに、金門島に行くことで中国を出国したことになるのだろうか。ぼくはそれに違和感がある」
・「中国は台湾の一部である」
これは中国の教育による思想らしく、今まで世界を旅してきて中国人と触れ合うごとにぼくはこの発言を中国人から聞かされていたので、またかという感じだった。中国の人はしばしば「中国は台湾の一部である」ということを、こちらが聞いてもいないのに主張し出す習性を持っているのかだ。ぼくもそれに慣れているので、そうだねおかしいねと言っておいた。
彼はテレビのアナウンサーであり非常に国家的な仕事であるから、そのような思想も色濃いのかもしれない。しかし別にそれをしつこく言うこともなく、会話をしていてもとても感じのいい好青年だだったので、ぼくは廈門の旅を彼と共にした。
・台湾の金門島へ行くことは中国出国を意味するのか
しかし「中国は台湾の一部である」という彼の発言を聞いてぼくは急に不安になってきた。これは中国共産党の思想であり、そして中国のビザは中国共産党から与えられたものだ。中国共産党が台湾は中国だと主張しているのに、台湾に行くだけで中国を出国したことになるのだろうか。台湾に行くことは中国を出国することだと認められるのだろうか。
ぼくは台湾に行くことは中国を出国することを意味すると当然のように思っていたので、台湾で1月10日まで過ごす予定だった。もしも中国共産党が主張するように台湾は中国のものなのだからあんたは中国を出国したことにならない、オーバーステイの罰金を払いやがれと言われたらたまったもんじゃないし、そんな無駄なお金はない。
果たして台湾の金門島に行くことは、中国出国を意味するのだろうか。
・台湾は中国ではなかった
心配していても仕方ないので、普通に予定通り12月29日に、中国大陸から台湾・金門島への船の大冒険を試みた。結果としては廈門の港では出国手続きが行われ、中国出国のスタンプが押された。そして台湾の金門島では台湾の入国スタンプを押された。無事に、中国出国は達成されたようだった。
中華人民共和国から台湾に来てものすごく雰囲気が変わった。中国には中国の製品しかなかったが台湾は日本の製品であふれ、異国に向けた開放的な空気感が漂い、英語を喋る人も少し増え、インターネットではフェイスブックやツイッター、グーグルにラインもすべて使えるようになってめちゃめちゃ快適だ。普通のことがこんなに幸福で生きやすいことがわかったのも、インターネットを厳しく規制され情報統制された中国を旅したおかげである。
しかし中国共産党が主張するように台湾は中国の一部だと本当に見なしているならば、どうして出国スタンプを押してくれるのだろうか。これは中国自ら、台湾は異国だと認めているようなものではないか。そして無事に中国を出国でき、やっぱり台湾は中国ではなかったのだと実感した。