永沢君と言えば、火事!!!!!
永沢君の家が火事になった原因と経緯を徹底解説!永沢君を励ます会が必要だったというのは本当か?
・ちびまる子ちゃん第1期全体に漂っている「永沢君=火事」の気配
・第116話「永沢君の家、火事になる」の巻は爆笑の名作
・この世の気まずさを凝縮させた「永沢君を励ます会」の全貌
・永沢君の家はなぜ火事になったのか、その原因は?
・永沢君と藤木君は、第1期では純粋にとても仲が良かった
目次
・ちびまる子ちゃん第1期全体に漂っている「永沢君=火事」の気配
今や国民的アニメとして確固たる地位を築いている「ちびまる子ちゃん」だが、実は今放送しているのは1995年から始まった第2期のシリーズである。その前に第1期として1990年から始まった大人気シリーズが本来の予定通り1992年に一旦終了し、1995年から第2期が始まってから今に至るという歴史がある。
ぼくはアニメ「ちびまる子ちゃん」は断然第1期が好きである。第2期は様々な新しい個性的なキャラクターも加わったものの、少ないメンバーでこじんまりと上手にまとめ上げていた第1期の方が笑いの質がはるかに高かったと感じるし、物語を膨らませようとするあまり第1期ではいい子だったキャラクターが、第2期では性格が悪くなったり陰険になったりして、第2期は見ていてジメジメした雰囲気が不快な部分も多い。第1期のとんでもなくバカバカしいキャラクターの勢いだけで押し通していた、誰も傷つけない嫌味のない演出がぼくの好みだった。
そんなぼくの大好きな第1期では、やたらとタマネギ頭の永沢君の家が火事になったということがフューチャーされていた。永沢君と言えば家が火事になった子だとすぐに思いつくほどに、「永沢君」と「火事」は物語の中で密接に結び付けられていたのだ。しかし永沢君がどのような経緯で火事に遭ったのか、その時の様子が克明に描かれたのは放送が開始されてからだいぶ時が経ってからだった。
・第116話「永沢君の家、火事になる」の巻は爆笑の名作
永沢君の家が火事になった詳細が描かれたのは第116話「永沢君の家、火事になる」の巻においてだった。ある春のうららかな日、まる子がいつも通りのんべんだらりと過ごしていると、どこからともなく消防車のサイレンが流れてきた。まる子とおじいちゃんが野次馬根性で火事を見に行くと、なんとそこは永沢君の家だったのだ!
火事の中からなんとか逃れてきた永沢君は、その手に変なロボットを握りしめながら、呆然として燃え盛る自分の家を眺めていた。気の毒なあまり、まる子たちは永沢君にかける言葉が見つからなかった。
・この世の気まずさを凝縮させた「永沢君を励ます会」の全貌
永沢君の家が火事になったことを知った学級委員の丸尾君は、翌日永沢君のために「永沢君をはげます会」を計画する。しかしクラスメートを励まそうとかなり張り切っている丸尾君のテンションとは裏腹に、当然のことながら永沢君の陰鬱さはピークに達している。普段から暗い永沢君が、家が火事になったことにより絶望の淵に追い込まれているのだからどうしようもない雰囲気が漂っている。丸尾君以外のクラスメートはみんな「余計なことなんかしない方がいいのに」と心の中で思っている。
しかし善意が暴走している学級委員の丸尾君のことを誰も止められず、丸尾君の段取り通りに「永沢君をはげます会」は進行していく。丸尾君の指示通り、クラスメートがひとりひとり永沢君を励ます言葉を発表していくが、落ち込みまくっている永沢君にかける言葉なんてそう簡単に思いつかずに誰もが困惑する。ひとり張り切っている司会の丸尾君だけが、クラスメートの励ましの言葉にひとつひとつコメントを付け足しながら丁寧に対応している様子が、より一層場の空気を重くしていることに丸尾君だけが気づいていない。まる子は「永沢君、ちっとも励まされてないよ、この会っていったい…」と心の中で「永沢君をはげます会」の存在意義を問うている。
やっとのことで全員の励ましの言葉が終わると丸尾君の善意はさらにエスカレートし、最後にはみんなで「永沢君をはげます歌」を歌おうと提案し、クラスメートをさらに困惑の渦へと陥れる。曲目は「てのひらを太陽に」!丸尾君はみんなの前で歌うのが苦手なはずなのに、永沢君を励まそうと精一杯歌い上げる。
「てのひらを太陽に透かしてみれば〜 真っ赤に流れるぼくの血潮〜 (ズバリ!!!!)
ミミズだ〜って オケラだ〜って (ご一緒に!) アメンボだって〜
みんなみんな生きているんだ 友達なんだ〜 (ズバリそうでしょ〜う!!!!!)」
と丸尾君は誰よりも大きく歌い上げるばかりではなく合の手まで入れて合唱を盛り上げようと努力する。クラスメートのみんなから励ましの言葉をひとりひとりもらい、永沢君を励ます歌まで合唱し、純粋な善意から永沢君を励まそうと可能な限り努力した学級員の丸尾君主催の「永沢君をはげます会」で永沢君が本当に励まされたのかどうかは、永沢君が最後の最後に暗い顔をしてみんなに言い放った一言によって完全に明らかとなった。
「みんなはいいよな…火事にならなかったんだから…」
みんなの顔には縦線が入り、もはや取りつく島もない状態となった。
・永沢君の家はなぜ火事になったのか、その原因は?
しかしどうして永沢君の家は火事になってしまったのだろうか。一体何が原因だったのだろう。まる子が気まずさの最上級を記録した「永沢君をはげます会」から帰宅した際に、「昨日の火事はガスコンロが原因だった」とお母さんに語っている場面があり、永沢君の火事はガスコンロが理由だったことが示唆されている。
また第117話「永沢君ちの火事見舞い」の巻では、永沢君の家が火事に遭った瞬間の回想場面がある。永沢君が自分の家の部屋でのんびり過ごしていると、突然お母さんが「あなた、隣が火事よ!」と叫び、続けてお父さんが「うちにも燃え移ってるぞ!逃げろ!」と叫んでいる。永沢君はその声を聞き、命からがらで逃げ出す。慌てふためいているあまり、永沢君は変なロボットだけを握りしめていた。
つまり永沢君の家が火事になったのは永沢君の家から火の手が上がったわけではなく、永沢君の隣の家でガスコンロが原因として出火し、その火が永沢君の家に燃え移ったという事情であるようだった。
・永沢君と藤木君は、第1期では純粋にとても仲が良かった
永沢君はまる子やたまちゃん、丸尾君に大いに励まされたが、最も印象的なのは第117話「永沢君ちの火事見舞い」の巻最後の場面の、永沢君と藤木君の間でより深い友情が芽生える場面だ。永沢君と藤木君はプラモデルをどちらが先に作れるかで競争していたが、そのプラモデルも火事で燃えてしまった。気の毒に思った藤木君は頑張って完成させたプラモデルを「ぼくは永沢君に何もしてあげられないから、このくらいしか君を励ます方法が見つからないんだ」と言って永沢君にプレゼントする。とても美しい素朴な友情の場面だ。
永沢君と藤木君は、第1期では純粋にとても仲が良く微笑ましかった。第2期では永沢君は陰険な性格に、藤木君は卑怯な性格が付け加えられ、2人の関係も全くいいものではなくなってしまったのがぼくには非常に残念だ。この2人は本来、どちらも「ただ暗い地味な男子」という位置付けであり、そこに悪意のある性格が入り込む余地はなく、どちらもただただ優しい少年だったのだ。そのような優しく素朴な雰囲気が一変し、第2期では陰湿な関係性が提示されていることに、ぼくはとても残念な気持ちと不信感を抱いている。なぜこの素朴で地味な友情を2人に残してやらなかったのだろうか。
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