日本を旅すれば旅するほど、不思議な異国感を感じられる。
日本が祖国だというのは本当か? 〜日本という異国〜
・知られざる祖国、日本
・ぼくのこれまでの日本一周の記録
・出雲大社に感じた不思議な異国感
・ぼくは日本海側を全く知らない
・「日本という異国」
・知られざる祖国、日本
紛れもなくぼくは日本出身の日本人だ。しかし日本をめぐる旅を続けていると、日本のことを全然知らないことを思い知らされる。日本人として日本にずっと住んできたけれど、行ったことのない県や地域もかなり多い。見ず知らずの日本の異郷をめぐっていると、やっぱり自分の知っている「日本」らしい風景に出会えるのと同時に、全く知らなかった日本という国の側面がありありと感じられるから面白い。
もしかして世界の中で、旅していて最も面白いのは日本ではないだろうか。日本人というものはやたらと外国や異国に憧れるけれど、実は足元にある日本という国がいちばん味わい深い素晴らしい国ではないだろうか。
ぼくは以前から世界一周と日本一周を並列して行なっているが、最近はもちろん新型コロナウイルスの影響で可能な限り頑張ったとしても日本一周の旅を続けていくしか選択肢は残されていない。これも運命が日本を深めろとぼくに命じているのだと思いなせば、日本という祖国を世界をめぐるように彷徨うのも悪くないだろう。
・ぼくのこれまでの日本一周の記録
ぼくの日本を深める旅は、10年間住んでいた琉球諸島から始まった。石垣島からフェリーで行ける離島で、今までで行ったことのない離島を全てめぐる旅をした。
また知床半島を中心にして北海道を見て回ったり
人生で行ったことのなかった東北地方を一周したり
生まれ故郷である紀伊半島を生まれて初めての車中泊で一周したり
九州をぐるっと車中泊で一周したり
四国88箇所霊場お遍路の旅を、世界一周の旅で仲良くなった台湾人と一緒に車中泊で実行したりした。
・出雲大社に感じた不思議な異国感
ぼくの住んでいる関西地方から旅立って九州一周車中泊の旅をするためには、当然途中で中国地方を経由しなければならなかった。行きは瀬戸内海沿いを進んでいき広島県の尾道やしまなみ海道、山口県を巡ったので、帰りは日本海側の山陰地方を通って帰ろうとして島根県の出雲大社を人生で初めて訪れた。
出雲大社というのは本当に不思議でぼくの中で魅力的な場所だった。同じ日本なのに全然知らない場所に来てしまったような感覚。聞いたこともない二礼四拍手一礼の不思議な参拝の仕方、逆向きに設置されたしめ縄、南ではなく西の方角へと向けられた神様。同じ日本なのにもうひとつの日本を訪れてしまったような、忘れ去られて取り残された濃厚な過去を感受するような感覚が、日本という国の古層の深さを見せつけてくれているようだった。
・ぼくは日本海側を全く知らない
そういえばぼくは人生で、日本海側という場所にほとんど行ったことがないことに気がついた。旅行する場所や訪れる場所は、決まって太平洋側であり、日本海側という場所を選択する気配は全くなかった。もしかしたら島根県とか鳥取県とか富山県とか福井県とか新潟県とか、日本海側の全く見ず知らずの場所にはぼくの知らない異国のような神秘的な日本が隠されているのかもしれない。そんな想いから日本の日本海側に沿って旅をするという計画を思いついた。
異国のような日本を、もっと感じ取ってみたい。日本の中の神秘的な異国に、何度でも触れてみたい。そんな思いを胸に抱き、ぼくはまず西の果て長崎県へと向かった。
・「日本という異国」
”異国を彷徨えばわたしは異物だと
開き直って人を慈しむこともできようが
故郷にあっても異物となるこの身が
いかにして救われる道をさがすだろう”