ぼくはフィンランドのラップランドの州都・ロヴァニエミに6日間宿泊した。
フィンランドのサウナでは全裸で入るというのは本当か?
・フィンランドのサウナに入ろう
・フィンランドのサウナは全裸か?
・この宿では全裸が正解だった
・国際的な裸の付き合い
・フィンランドのサウナに入ろう
フィンランドのロヴァニエミの宿はドミトリーでなんと1泊4000円もした。これが最安値近かったのだからとんでもない。ロシアでは1000円以下のところがほとんどだったので、北欧の物価の高さに驚愕しきりであった。しかしまあ日本もこのような値段だろう。
しかし高いだけあって、このロヴァニエミの宿は清潔で手入れも行き届いており、石鹸やタオルなども提供され高いなりに快適という感想であった。また、最大のよかった点として、サウナに無料で入れるというものがあった。4000円も払ってその代金に含まれているサウナに入らないのでは大損だ。ぼくは毎日入ろうと企んでいた。
フィンランドといえばサウナである。サウナというものは、日本でもよく温泉などに付属されているので入ったことのない日本人は少ないだろう。ぼくももちろん入ったことがあるが、それにしても日本のサウナと同じ感覚で入っていいのだろうか。
・フィンランドのサウナは全裸か?
まず気になるのは、全裸になってもいいのかということだ。それが最も気がかりである。なんせ日本と同様に全裸で入って、実はそれが固く禁止されていましたというのではまるで犯罪行為である。無知のうちに恥をかかないためにも、フィンランドのサウナ事情についてよくインターネットで調べるべきである。
さて、そのように調べたはいいが答えはなんだか曖昧である。フィンランドでは全裸で入るサウナもあるし、水着を着て入るサウナもある。そのサウナによって違うので確認してくださいという、毒にも薬にもならないような回答があふれてる。結局ホテルのフロントに聞くしかないのだろうか。一応恥をかかないためにフロントに聞いてみた。
「日本ではサウナって裸で入るんですけどフィンランドではどうですか?」するとフロントの女性の答えはこうであった。「水着があるなら着て入ってもいいかも!あなたが気にしないようならば、裸で入ってOKよ!」これまたなんとも曖昧な答えである。結局どっちにすればいいのだろうか。どうにもこうにもわからないまま、サウナのための時間は訪れた。
・この宿では全裸が正解だった
と言ってもぼくは水着なんか持っていなかったので、日本のように全裸で入るしかなかった。タオルを用意して、それを腰に巻いて入る。入る時点ではぼく以外誰もいなかったので、もはや全裸か水着かを気にする必要はまったくなかった。サウナの部屋の前にはシャワーがあるので、ひとまずそこで体を洗い流すのがマナーのようだ。ぼくもそこで体をきちんと洗い、ついでに髪もひととおり洗って初・フィンランドのサウナへ乗り込んだ。
フィンランドのサウナは基本的には日本のものと同じである。しかし決定的な違いがある。見たこともない「焼き石の装置」が置いてあるのだ。この焼き石に水を注ぐと、水が蒸発して、部屋が瞬く間にあたたまるから不思議である。あまりに多くの水を注ぎすぎると、部屋が激しい熱気で満たされるので注意が必要だ。ぼくは控えめにちょろちょろと水をかけて、あ、ちょっと熱くなった、などと思って楽しんでいた。しばらくして、台湾人のおじさんも入ってきた。
台湾人のおじさんは最初パンツを履いていたが、ぼくが全裸であることを確認すると全裸になっていた。これでもう安心だ。全裸なのはぼくひとりではなくなり、これで全裸がおかしいという状況になっても、おかしいのはふたりなので安心だ。しばらくしてベトナム人が入ってきた。彼も全裸である。もうこれで完全に安心だ。ここにもし誰か水着を入った男が入ってきても、多数決で全裸の通常が保たれるだろう。
結局6日間サウナに入って誰ひとり水着で入ってくる人などいなかった。フィンランド人も水着ではなかったので、全裸がこのホテルでの正解だったと言えるだろう。しかしそのフィンランド人のサウナの流儀なすさまじいものがあった。
・国際的な裸の付き合い
彼はものすごく焼き石装置に水を注ぐのだ。もうこれでもかと言わんばかりに上からも下からも水を注いでいく。部屋は激しい熱気に満たされて、誰もが逃げ出したい気持ちを押さえ込んで必死に耐えていた。するとフィンランド人は、フィンランドではこうするのが流儀なんだと言って、焼き石装置になんとビールを注ぎ始めた。
衝撃の瞬間である。この後何が起こるかを、もはや誰ひとり知るものはない。気化したアルコールにより酔っ払ったりする可能性はあるのだろうか。しかしそのような心配にも関わらず、ビールの蒸気は何か動物が焼けたような料理のような匂いを漂わせて終わった。なんだかキッチンで嗅げばいい匂いだが、サウナで嗅ぎたい匂いではなかったかもしれない。
彼はフィンランドのサウナを外国人に伝えることができて上機嫌となり、彼の子供が幼い頃サウナの焼き石に間違っておしっこをかけてしまいその時は流石に変な匂いが部屋中に漂っていた思い出を嬉しそうに話していた。やはりサウナが国民の間に浸透しているフィンランドではサウナにまつわる思い出話のひとつやふたつあって当たり前のようだ。
この6日間でベトナム人、台湾人、韓国人、トルコ人、ドイツ人、フィンランド人など国際色豊かな時間となった。裸の付き合いが仲良くなれるのは日本でもフィンランドでも同じらしい。最初はタオルを腰に巻くのがマナーだと思っていたが、みんなタオルをとりサウナを楽しんでいたのが印象的だ。むしろタオルを取って素っ裸になり、自然体で大いにサウナを楽しんでいる人々が圧倒的に多かった。
ぼくがこの6日間で学んだことは、国際的には包茎を全然気にしていないということと、タオルで隠さなければならないというマナーの観念が最も強いのは、日本人と韓国人だということである。