石敢當はアジア各地にあった!!!
中国、台湾でも発見!「石敢當」は沖縄にしかないというのは本当か?
・「石敢當」を知っていますか
・「石敢當」は沖縄の魔物に対する魔除け
・台湾の台南で初めて外国の「石敢當」を発見
・中国貴州省の「肇兴侗寨」ではT字路にない「泰山石敢當」を発見
・中国貴州省の少数民族をめぐる旅の記事一覧
・台湾の離島でまさかの「石敢當」を抱えたシーサーに出会う
・台湾金門島の大冒険の記事一覧
目次
・「石敢當」を知っていますか
皆さんは「石敢當」をご存知だろうか。沖縄に住んでいる人はもちろん知っているだろうし、沖縄に旅行したことがある人は目にしたことがあるかもしれない。逆に沖縄ではない日本に住んでいる人にとっては初めて聞いたという人もいるだろう。
ぼくも「石敢當」は、沖縄に移住してから初めて知った。しかし沖縄にはその数があまりに多すぎて、10年沖縄で暮らしたぼくにはかなり馴染みの深いものになってしまい、もはやそれを知らなかった頃の時代を思い出すことはできない。
・「石敢當」は沖縄の魔物に対する魔除け
「石敢當」とは、沖縄のT字路の道に数多く設置されている、まさしく「石敢當」と書かれた石のことである。なんでこんなものが、沖縄各地のT字路に設けられているのだろうか。そもそも「石敢當」なんて、その漢字の意味すらわからない。
ぼくが数多くの沖縄出身の友達から教えてもらったところによると、「石敢當」とは魔除けである。なんでも沖縄の魔物(マジムン)は、直進しかできない性質を持っており、その性質ゆえに、T字路では魔物が曲がりきれずにその先の家に衝突してしまい災いをもたらすと考えられているようだ。そこで、T字路でも魔物が突進して来て災いが降りかからないようにと、「石敢當」という魔除けを置いているらしい。
沖縄は日本に所属していながら、日本文化とユーラシア大陸文化との中間のような文化を保っていると感じる時がある。沖縄には日本にはない不思議な文化も根付いており、まるで外国みたいだと沖縄に来たてのぼくは思っていた。
・台湾の台南で初めて外国の「石敢當」を発見
しかしこの「石敢當」、沖縄で発明された沖縄独自の文化なのだろうか。調べたところによると、「石敢當」は中華文明圏にもあるらしい。しかし、沖縄にありふれた「石敢當」にそんなにありがたみも深い興味も持たないまま、時は流れた。
外国で「石敢當」を見ておおこんなところにも!と感動したのは台湾の台南においてである。台南の骨董品屋さんのようなところでささやかに「石敢當」が売られていたのでその不意の出会いに驚いた。ぼくが外国で「石敢當」を見た初めての経験である。なるほど沖縄と台湾は地理的にも近い位置にあるし、このように海を隔てようとも文化的繋がりが存在することは自然なことだろう。
しかし、台湾ではこのように骨董品屋さんに並んでいる以外に、「石敢當」を見たことはなく、それが沖縄のように人々の日常生活に深く馴染んでいるというような感覚を感受することはなかった。せめて道に設置されているのを見たならば、「石敢當」が日常で効力を発揮しているのだろうと感じることができたのに。
けれどよくよく考えてみれば、魔物は直進しかできないという沖縄のかなり独特な魔物の性質が、外国にも根付いているとはあまり考えられなかった。それならば台湾の「石敢當」は何のために存在しているのだろう。やっぱり魔除けの効果があるのだろうか。「石敢當」は台湾の魔物も退治できるのだろうか。そもそも台湾の魔物って何?謎は深まる。
・中国貴州省の「肇兴侗寨」ではT字路にない「泰山石敢當」を発見
ぼくが台湾以外の外国で「石敢當」を発見したのは、最近の中国貴州省で少数民族を巡るさなかにある時だった。正直「石敢當」のことなんてすっかり忘れていたのだが、突如として貴州省のトン族の聚落「肇兴侗寨」で久々に「石敢當」を見たのでまたしてもかなり感動した!
「肇兴侗寨」は人里離れた田舎にあり、まさかこんな山奥で「石敢當」に出会うなんて夢にも思っていなかったからだ。しかもここは沖縄からも台湾からも遠い内陸部に位置していることも興味深い。一体「石敢當」は、どれほどの広がりをアジアにおいて持っているのだろうか。
しかも「石敢當」の前に「泰山」という謎の接頭語までつけられている。「泰山」とはなんだろう?!調べてみると、中国の道教の聖地であるらしい。中国の道教と沖縄の魔物の直線的な性質が関連し合っているとは考えにくい。「泰山石敢當」は沖縄の「石敢當」とは別の意味合いを持っているのかもしれない。
中国貴州省の「肇兴侗寨」の「石敢當」はT字路にはなく、川沿いの古びた集落の曲がり角に設置されていた。T字路にない「石敢當」も初めて見たし、やはり沖縄の「石敢當」とは意味合いが異なってくるのだろうと強く疑った。中国や台湾における「石敢當」の意味とは何なのだろう。
・中国貴州省の少数民族をめぐる旅の記事一覧
・台湾の離島でまさかの「石敢當」を抱えたシーサーに出会う
さらに驚いたのは、ぼくが中国福建省の廈門から台湾領土の金門島までフェリーで冒険したまさに今日のことである。金門島に上陸したぼくは、バスの待ち時間にフラっとお土産物屋さんに立ち寄った。なんとそこには、「石敢當」を抱えたシーサーが大量にお土産として売られていたのだ!
「あれ???金門島じゃなくて沖縄に着いちゃったの?????」とぼくは本気で思った。
それほど、シーサーと「石敢當」に満ち溢れた島、中国大陸から船で行ける台湾の離島、金門島。ぼくは、沖縄の外側にももうひとつの沖縄があったのだという、その偶然の邂逅に感動を抑えることができなかった。明日からは、もうひとつの沖縄、台湾の金門島の大冒険を結構しようと思う。
・台湾金門島の大冒険の記事一覧