この世界ではなんでも交換できるというのは本当か? 〜あなたに秘密をあげない〜

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「交換」は人間行動の本質だ。

この世界ではなんでも交換できるというのは本当か? 〜あなたに秘密をあげない〜

・交換は人間の本質
・尿は交換できない
・生命は交換できない
・椎名林檎「ありあまる富」
・秘密は交換できない

・交換は人間の本質

ぼくたちは日常生活でお金を使って買い物をする。しかしよくよく考えてみれば「お金」という物質は実に不思議だ。どうしてあの紙切れで、たくさんの物質と交換して買い物ができるのだろう。

「交換」というものは人間の本質的な行動であるらしい。人間たちは昔から交換通して、豊かな生活を見出そうと努力した。山の民族は山菜をとり、海の民族は海鮮をとり、それらを交換することで、山の民族であっても海の成分を、海の民族でも山の成分を摂取することにより栄養のバランスが保たれたのかもしれない。

しかし物質と物質をいちいち交換していては、重いし運びにくいし時間がかかるし保存しにくい。それゆえに人間たちは合理的な媒介を開発し、最初は硬貨から始まり次第に紙幣へと変容を遂げたという。

このように「交換」が人間の本質であり、いつでもどこでも「交換」しているぼくたち人間だが、本当になんでもかんでも交換できるのだろうか。

 

 

・尿は交換できない

ぼくが面白かったので印象に残っているのは、友達から「トイレに行きたくなったけど忙しいから代わりに行ってきて〜」と言われたことだ。これは関西人特有のボケ的な発言であると考えられる。

実際にトイレに行きたくなった際に、代わりに誰かに行ってきてもらうことなんて不可能だ。ぼくと誰かの膀胱を取り替えることなんて不可能であるし、尿を入れ替えることも不可能だ。だからそんなの絶対無理だとわかっているが、「代わりにトイレ行ってきて〜」と関西弁で気軽に言われると、本当に代わりに行けるような感じがしてしまうから不思議な感じがする。

ここでは交換不可能なものの例が示されている。人と人の膀胱は交換不可能であるし、尿も交換不可能だ。自分の排泄は自分で行うしかないのが、人間の運命である。

 

 

・生命は交換できない

最近宮崎駿さんの最新動画をYouTubeで見かけた。なんと引退宣言したにもかかわらず、新作を作り始めているということで、本人もそれを認めているようだった。相変わらず宮崎駿さんは元気そうに見えたが、ちょっと痩せたようにも見えた。コメント欄には「日本の宝」「楽しみにしている」という一般的なコメントとともに「できるなら自分の寿命を1年分あげたい。元気に作り続けて欲しい」など「自分の命や寿命を宮崎駿さんにあげたい」というコメントが多数あり興味深かった。

もちろんそんなことはできない。自分の生命や寿命は他人にあげられないことは誰もが知っている周知の事実である。にもかかわらずそれを願ってしまうほど、みんな宮崎駿さんに期待や尊敬を抱いているらしい。

ここでも交換不可能なものが登場している。それは生命であり、寿命だ。人間が最も欲しいと本能的に望んでしまう生命や寿命が交換できないだなんて、「交換」という行為は大したことない真理に根ざさない行動なのかもしれない。「交換」できるなんてものは、ものすごくくだらないものばかりかもしれない。

 

 

・椎名林檎「ありあまる富」

椎名林檎に「ありあまる富」という素晴らしい楽曲がある。

“ぼくらが手にしている 富は見えないよ
彼らは奪えないし 壊すこともない
世界はただ 妬むばかり

もしも彼らが君のなにかを盗んだとしてそれは
くだらないものだよ 返してもらうまでもないはず
なぜなら 価値は生命にしたがってついてる

彼らが手にしている富は買えるんだ
ぼくらは数えないし なくすこともない
世界はまだ不幸だってさ

もしも君が彼らの言葉に嘆いたとしてそれは
つまらないものだよ 涙流すまでもないはず
なぜなら いつも言葉は嘘をはらんでる”

 

・秘密は交換できない

自分の秘密を明かすことで、相手の秘密を聞き出そうとする種類の人間がいる。しかしぼくはそのような愚かな交換に応じない。自分の秘密というものは、どんなにそれがぼくを苦しめていようとも、ぼくの尊い宝物だ。交換に使おうとする小賢しい偽物の秘密などと、交換可能な代物では決してない。

こちらが秘密をひとつ手渡したのだから、お前も秘密をひとつ明かすべきだと勘定して語るその濁った瞳が大嫌いだった。ぼくの秘密は生命と同様に、硬貨にはならないし、流通しないし、交換もできない。本当の秘密は、滅びるように生き抜いたその人の心の中にしかおさまらない。あなたには渡さない。ぼくの尊さを。秘密を計算するその脳に、ぼくの秘密は似合わない。

 

 

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