それが異常であるというのは本当か? 〜異常気象と異常人間〜

 

よく暑い日が続くとき、テレビニュースなどでよく知らないニュースキャスターのおじさんが「地球がおかしくなってますねー」となどと深刻な顔をして呟いたりする。それを聞いて周りの人が頷いている。

それが異常であるというのは本当か?

・地球がおかしいという人間たち
・適切に作動している地球
・“異常”の名付け
・なにかのせいにしなければ気が済まぬ人間
・「人間がおかしくなっている」
・自作詩「異常たちの中へ」

・地球がおかしいという人間たち

ぼくはそのテレビの様子を見ていつも疑わしい眼差しを投げかける。なぜ地球がおかしいなどというのだろう。なぜみんなこれを「異常気象」などと言って囃し立てているのだろう。

極端に暑い日が続いたり、いつもよりも早く雪が降ったり、いつもより多く雨が降ったり沢山の台風が来た時には、人々は決まってこのようなことを口にしたがる。しかしこれは本当に“異常な気象”なのだろうか。

 

 

・適切に作動している地球

ぼくが思うに、地球は異常でもおかしくなっているということもない。地球は正常に動いているだけだ。気圧や熱や地殻の現象の法則に従って、それ相応に適切な態度をいつもとっているだけだと言えよう。暑い日がずっと続いたり、台風がいつもより多いというのは、暑い日が続いたり台風を多く発生させうるそれなりのふさわしい地球なりの理由があるからそうなっているだけであって、地球は法則通りに適切に天候を生み出しているのに、それを異常だとかおかしいと言われると、地球が可哀想ではないかと思ってしまう。

それではなぜ適切に働いている地球のことを、人間たちは異常気象だとか地球がおかしくなっているのだと罵るのであろうか。

 

・“異常”の名付け

それは人間にとって都合が悪いからに他ならない。暑い日が続くと毎日がだるくて鬱陶しくて生活しにくいのがよくない。台風が多く来たら多くの家屋が破壊されたり人が怪我したり亡くなったりもするのでこれも非常に人間にとって都合が悪い。雨が多いと洪水になったり土砂崩れが起こり得ることだって困る。

人間たちは不都合なものや、常ならぬものが発生した時に“異常”だと名付けてその言葉の中の悪意で攻撃に走る傾向にある。彼らは本当は、都合のよいぬくもりの中で、恒常的で安らかな繰り返しの波の中で、穏やかに暮らしたいのだ。そしてそれを脅かすものを、憎み退けようと潜在的に企む。そのようにして人間は同じ種族の人間の心さえも蝕んでゆく。

不都合な天候を地球から投げかけられて、人間たちは悪意を持って“異常”を名付ける。小さく無力な人間には、それ以外に抗う術などない。

 

・なにかのせいにしなければ気が済まぬ人間

しかしはっきり言って地球は人間のことなんか構っていない。人間なんてたくさんいるこの地球上の小さな生き物のひとつの種族に過ぎないのだ。それが困っていようが都合が悪かろうがまったく知ったことではないだろう。地球は淡々と、自分自身の法則に従って、現象を生み出しているのみである。中に住んでいる生命たちがそれに適応しきれずに滅んでしまったのならばそれまでだし(そのようなことは特に珍しくもなく地球の歴史上いくらでも起こっただろう)、適応して生き残ってもああそうですかと気にも留めない具合だろう。

それなのに人間たちが「地球は今日も法則に則って適切に働いている」と言わずに地球はおかしくなってしまったと悪口を言うのだからたまらない。自分たちに都合が悪いことを起こしたものは、おかしくなった異常者だと見なされてしまう。これは人間の非常に傲慢な態度であると言えよう。天候という自分たちにはどうしようもない現象が自分たちに都合の悪い状態にあることがいたたまれず、しかし誰かのせいにしないと気が済まないという人間の性質が「地球がおかしくなっていますねー」という言葉に如実に反映されているのだ。しかもそれをテレビという大衆の機械の中で堂々と言うのだから面白い。人間の誰もがその言葉を“異常”だと思わずに受け入れてくれるという確信が、彼にはあるのだろう。

 

 

・「人間がおかしくなっている」

地球からすればこのような発言をされたら「人間がおかしなことを言っていますね」「異常な発言をしていますね」とでも言い返してやりたいところだろうが、あいにく地球には口もなければ声帯もない。ただ黙って回っているだけである。

そして今日も人間たちは飽き足らず口々に言う。「地球がおかしくなっている」「異常気象だ」と。それをぼくはとても興味深く見ている。

 

 

・自作詩「異常たちの中へ」

普通であることへと
導く風は止まない
真理に根を下ろさぬ者たちは
疑いを知らず風に従う

安らかな心地だろう
病むことのない国だろう
そう思い込むことで最も
侵襲されることに気付かなくても

敢えて異常を
自らに組み入れることで
開かれる扉がある
照らされる景色がある

おかしな者だと見なされるだろう
奇妙なことだと囁かれるだろう
それを知った上でさえも
異常でなくてはいられない

□とても青いコート
襟のないコート
とても白いリュック
あまりに大きなリュック■

異常という名を持ちながら
この世に生まれついても尚
異常という衝動を
探し求めながら歩いている

隠したくて恐ろしくて
どうしようもないぼくの異常
見せびらかしたくて明らかにしたくて
いたたまれないぼくの異常

異常はどちらの国にいる
秘められるための異常
提示されるための異常
どちらもぼくの中に住む

秘密を閉ざしたい願いも
秘密を明かしたい祈りも
反対なのにひとつとなって
同じものとして結晶化する

異常により破壊したい
この街の秩序を
正常を信仰する人間たちの瞳を
覚醒させてこの世を去りたい

 

 

 

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