なぜ自分が選ばれるのか人間が論理的に説明できるというのは本当か? 〜神様、仏様、偶然様、運命様〜

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なぜ自分が選ばれたのだろうか。

なぜ自分が選ばれるのか人間が論理的に説明できるというのは本当か? 〜神様、仏様、偶然様、運命様〜

・なぜ病気になる人に選ばれるのか
・当直に患者さんがいっぱい来るのか来ないのか
・グーグルアドセンスはいつ押されるか
・谷山浩子のオールリクエストでまさか選ばれた!
・なぜ自分が選ばれるのか誰も説明できない

・なぜ病気になる人に選ばれるのか

医学を勉強していると、どうして病気になるのかを学ぶことになる。この細菌が原因で肺炎になるとか、この修復遺伝子に欠損があると癌になるとか、このようなタンパクのせいで認知症になるとか、医学生は様々な病気の原因を学ぶ。

しかしぼくが医学を学んでいて感じていたのは、これらの原因が病人の究極的な苦しみを取り除くことにつながるのかということだ。もはや治らないような手遅れのがんにかかってしまった時、もはやどうしようもない認知症に苛まれるとき、彼ら病人の知りたいことは「どうして”自分が”この病気にかかる人に選ばれてしまったのか」ということではないだろうか。

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周囲には自分よりも好き勝手に不健康に生きている人もいるのに、自分だけが癌にかかる人間として選ばれてしまった、自分は誰よりも頑張って老後も豊かに暮らせるように努力してきたのに早いうちから認知症になってしまった。「どうして自分が選ばれたのだろう。」

タンパクや遺伝子のことなんてどうでもいい、もしもタンパクや遺伝子が原因ならば、どうして自分がそのタンパクによって異常を来される人間として選ばれたのか、どうして自分が遺伝子の欠損する人間としての運命をたどることになったのか、医学が教える原因よりも、もっとより深いところに位置する運命的で根本的な不条理の問題こそが、病人の知りたい答えではないだろうか。そして疑問を深めれば深めるほどに、医学は答えに窮することとなる。

なぜ人間は癌になるのか、なぜ人間は認知症になるのか、究極的に原因を突き詰めていけば、人間はその答えを用意することはできない。ただ究極と表層の間に位置する答えに狙いを定め、どのように治療するのかを医学が用意するのみである。

 

 

・当直に患者さんがいっぱい来るのか来ないのか

医者には救急の当直当番というのがあり、夜中中ずっと寝ずに救急患者さんを診察し、さらに次の日は通常通り勤務しなければならないという人間らしからぬ労働体制が今でも存在している。全ての医者が望んでいることは、救急当番の際に、夜中に患者さんがあまりこないこと、呼び出されることなく安らかに眠れるということだ。

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しかしこればっかりは、医者がどんなに頑張って努力して医学を勉強していようとも、予測できた試しがない。今日の夜は患者さんが沢山ひっきりなしにくるのか、それともあまり来ずに安らかに夜を過ごすことができるのか、そればっかりは当日の夜になってみないと誰にもわからないのだ。

そんなことは当たり前のことだが、ぼくはいつもぼんやりと感じていた。今日患者さんが夜中にいっぱいくるのか、それともあんまり来ないのか、あらかじめわかっていれば当直もやりやすいのにと。今日沢山来るとわかっていれば夜中中ずっと起きるぞと気合いも入るし、全然来ないとわかっていれば心から安らいで眠ることができるのに。しかし医者は占い師ではないので、今日どんな患者さんが来るか、今日どれくらいの人数の患者さんが来るのか、全く予想なんてできやしない。どんなに頑張って医学を勉強したところで、自分の健康状態に最も重要なそんなことを予想する能力すら得られないなんて、なんだか虚しい気分に襲われる。

ぼくは患者さんが沢山来る日に当直当番として選ばれているのか、患者さんがあまり来ない日の当直当番として選ばれているのか、ぼくにとって最も重要で最も聞きたいその質問をどんなに偉い上級医であっても答えられない状況のままで、必死に当直をこなしていた。またどうすれば患者さんが沢山来る日にあたるのだろう、どうすれば患者さんがあまり来ない安らかな当直を選び取れるのだろう、そんな運命的な問題にもちろん答えも出ないままで、人間は何も知ることができない生き物だと悟った。

 

・グーグルアドセンスはいつ押されるか

ぼくはブログにグーグルアドセンスという広告を載せさせていただいている。ブログ記事の中にちょこちょこグーグルからの広告が現れて、読んでいる人がそれを押してくれると、10円とか30円とかがもらえるという仕組みだ。これも今日押されるのか押されないのか、全くわからないから未知なる運命的なものを感じて面白い。

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単純に見てくれる人や見てくれるページ数が多いのに比例して広告を押される数が増えるというのは確かにそうだのだが、絶対にそうとは言い切れない部分もある。昨日の方が今日よりもアクセス数は格段に少なかったのに、昨日の方がたくさん広告を押されていたりする。そんなの見てくれている人がその広告に興味を持つか、その人の性格とかタイミングとか偶然性の問題なのだが、それでもどうして今日はたくさんクリックされたのだろう、どうして今日は全然クリックされないのだろうと、その神秘的な自分では知ることのできない偶然に思いを馳せてしまうことはよくある。

さらには1クリックに関しても、1クリック=1円の時もあれば、1クリック=100円の時もあるし、その分別も全くよくわからない。これは流石にグーグル側のアルゴリズムの問題だろうが、同じ1クリックなのに1円になったり100円になったり様々に移り変わるのはやはり不思議ではある。

 

 

・谷山浩子のオールリクエストでまさか選ばれた!

先日ぼくは谷山浩子のオールリクエストのコンサートに初めて参加した。オールリクエストというからには観客からリクエストでも受け付けるのだろうから、始まる前にアンケートでもとって集計するのかなと思っていた。しかしなんとそのコンサートは、谷山浩子が座席番号のクジを舞台で引き、当てられた座席番号の人が谷山浩子に向かって直接リクエスト曲を投げかけるという驚愕の仕組みだったのだ!

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しかし何百人も観客がいるのでまさか当たりはしないだろうと悠長に構えていたら、なんとまさかのまさかで当たってしまったので心臓が止まった!!!!!なんとか答えて「恋人の種」という曲をリクエストできたが、本当に時が止まったのかと思うくらい緊張した。まさか当たるなんて思っていなかったから!

”2億年 生きてきた 恋人の種
2億年 まどろみの 夢の中
ひたすらに 待ち続け 今ここにいる
今日生まれ 明日死ぬ わたしの前に

その人は 知っている 原始の空を
岩石に 降り注ぐ 暖かい雨
繰り返す 昼と夜 無限の闇の
寂しさに 冷え切った 長い明け方”

「恋人の種」とは、ぼくがこの「みずいろてすと」で何回か紹介している谷山浩子のラジオドラマ「電報配達人がやってくる」のぼくが大好きな水族の場面のバックに流れている神秘的な曲だった。地球創造からの2億年の悠久の時の流れ、宇宙さえ震わせる願いの音、そんな壮大な世界観のこの曲が大好きだったので、リクエストするならこの曲と一応心に決めていたので即答できて助かった。

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今でも谷山浩子とやり取りしたあの瞬間は夢だったのではないかと疑ってしまう。いつもいつも聞いていた大好きな「恋人の種」の曲を、ぼくのリクエストで谷山浩子が歌ってくれるなんて本当に夢のようではないか!そのような感動と同時にぼくにはいつもひとつの疑問が浮かび上がる。「どうしてぼくが選ばれたのだろう?」

 

 

・なぜ自分が選ばれるのか誰も説明できない

そりゃあたまたま谷山浩子があんたの座席を選んだからだよと突っ込まれそうだが、じゃあなんで谷山浩子はぼくの座席のクジを選んだのだろうか。なんでぼくの座席のクジが、谷山浩子の右手に当たる場所に位置していたのだろうか。そりゃああんたそれはただの偶然だよと片付けられるかもしれないが、ただ偶然で片付けてもいい問題なのだろうか。

もしかしたら、日頃の行いがよかったからだろうか。もしかしたら、コンサート前に神社に行ったから神様が見ていてくれたのだろうか。それとも「恋人の種」を本当に何回も何回も聞いていたので、その思いが届いたのだろうか。誰が谷山浩子の右手をぼくのクジに導いたのだろう。誰が谷山浩子の右手のそばにぼくのクジを置いたのだろう。神様だろうか。仏様だろうか。偶然様だろうか。運命様だろうか。

しかし、どんなに考えてもわからないものはわからない。どんなに本を読んでも、どんなに努力して勉強しても、どんなに偉大な賢者に尋ねてみても、永久にわからない問題がある。「なぜぼくが選ばれたのか」。それは誰にもわからない。

この先にもたくさんの不思議な出来事が、ぼくたちを待ち構えているに違いない。どうしてぼくが選ばれたのだろうと、説明のつかない出来事がいつまでも起きるに違いない。どうしてぼくが病気になる人間に選ばれたのだろう。どうしてぼくが異常になる人間に選ばれたのだろう。どうしてぼくが医者になる人として選ばれたのだろう。どうしてぼくは男として選ばれたのだろう。どうしてぼくは日本人になるように選ばれたのだろう。どうしてぼくは旅人になる魂に選ばれたのだろう。

誰にも答えられない不思議は無限に不気味に起き、その度にぼくは不思議な運命の感覚に苛まれるだろう。どんな他人も知らない問題を世界に投げかける時、ぼくは他人に疑問を投げかけることをやめ、自分の根源へと問い続けることをやめないだろう。

 

 

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