犬は確かに可愛いけれど…。
犬が可愛いというのは本当か? 〜犬に吠えられる不快と狂犬病の恐怖〜
・犬と猫どっちが好き?
・アジアを旅して感じる犬の恐怖
・家に近づけば絶対に吠えて来る飼い犬は実に不快
・吠えて来る犬と逃げていく猫
・犬と猫どっちが好き?
大人気ペットの2大巨頭といえば、犬と猫が挙げられる。犬も猫も実に人間たちに可愛がられ、SNSなどでも犬や猫の画像や動画は大いに共有され反応され、それほど人間たちは犬や猫に心が癒されているということなのだろう。
犬と猫どっちが好き?と言われてあなたはどう答えるだろうか。犬も猫も確かにどちらも可愛くて甲乙つけがたいが、ぼくなら猫と答えるかもしれない。その理由は、犬は確かに可愛いのも多いが、恐ろしいものも多いということだ。
・アジアを旅して感じる犬の恐怖
日本ではあまり感じないが、特に異国を旅しているときに犬の恐ろしさを感じる。特にアジアには野犬が多く、そこらへんをお構い無しに野犬がうろうろしている。彼らは昼間は暑いので眠っていておとなしいからいいが、夜になると活発に発動を始め、時には人間に向かって威嚇してくるから注意が必要だ。異国の夜に野犬に吠えられる恐怖は耐えがたいものがある。
ぼくは犬を飼ったことがないので犬の性質がよくわからず、彼らが吠えてくることにどんな意味があるのかいまいちよく掴みにくいが、もし万が一噛まれでもしたらと思うといてもたってもいられない!日本では狂犬病は消滅しているが異国には依然として多く存在しており、もしも噛まれて狂犬病を発症でもしたら死に至る可能性は100%だ!そんな恐ろしい病気を持っているのに遠慮なしに吠えてきたり追いかけてきたりする犬を、もはやただの可愛らしい動物だと安心して向き合うことはできない。
ぼくは物事を考える時には、いつも死を基準にしている。なぜだか子供の頃から死に関する感受性が高いのだ。「夏と冬どっちが好き?」と聞かれたらぼくは即座に夏と答える。なぜなら一文無しになって真冬に外に放り出されたら寒さで凍え死ぬ可能性がかなり高いが、夏に外に放り出されてもそのまま生き残る可能性が十分にあり、生存の希望が大いに残されている季節が夏だからだ。そのように考えていくと、ぼくが猫の方が好きだという答えも納得がいくものかと思われる。
人間が猫によって死んだり、猫に殺されるという出来事は滅多にないだろう。そんな話今までの人生で聞いたこともないし、猫は犬よりも忠誠心もないし気まぐれで可愛げのないものも多いかもしれないが、少なくとも犬のように人間を死に至らしめる可能性は極限まで低い。幼い頃に友達が下腿を飼い犬に噛まれて中の肉まで赤く染まった痛々しい傷を目撃してしまったが、そのようにして犬という動物は時として人を深く傷つける可能性に満ち溢れているのだ!
犬は急に吠えてきたり、襲ってきたり、噛んできたりするからその点でものすごく恐ろしい。しかも咬傷という外傷で終わるならばまだいいが、その後に狂犬病の発症という致死率100%の病気が待っていると考えればその恐ろしさは計り知れない。最近では日本の人間の赤ちゃんが犬に咬み殺されたというニュースが流れていたが、そのようにして人間を死に至らしめる出来事が猫よりもはるかに多いのが犬なのだ。
世の中では確かに犬が可愛いという噂で満ち溢れているが、それは人間に飼いならされた大人しい人間に害を与える可能性の極端に低い犬のことだろう。アジアの辺境で野犬に追いかけられたり威嚇された経験があっても、同じような気持ちで犬が可愛いなんて言えるだろうか。
ぼくがアジアに行ったことがない頃には、犬って人間に飼われている恵まれていて美しく幸せな動物というイメージだったが、アジアに行ってからはなんだか道端にウヨウヨいてたまに襲ってくる恐ろしい動物だという風にイメージがすっかり変わってしまった。しかもアジアの野犬は日本のと違って、痩せていて汚れていてみすぼらしいものが多かった。犬=人間と仲良しで恵まれているというイメージは崩壊した。それでものんびりと自由に過ごしていて、繋がれて飼われているよりもストレスなく生きているようにも見えた。
・家に近づけば絶対に吠えて来る飼い犬は不快
日本では犬は必ず鎖で繋がれていて襲われる心配はまずないが、それでも犬のいる家の前を通るたびに吠えられるのは実に不快だ。鎖があるので襲われる可能性が100%ないことはわかっているのだが、それでも絶対に吠える犬がいる家の前を通るときなんかは心が非常に憂鬱になる。そして今日はいつどのタイミングで吠えられるのだろうと吠えられる前は不安になり、いざ吠えられた後はその声の大きさに驚き心からうんざりしてしまう。
どうしてこちらはその犬なんかに微塵も興味がないのに、犬の方はこちらに向かって異様に吠えて警戒するのだろうか。こちらがそちらに全く興味がないことを察知する能力があれば犬の方もおとなしくなるかもしれないのに、残念ながら犬の方にそのような高等な能力はなく、来る者全てをとりあえず怪しい者か敵だと見なすことから彼らの生活は始まっているようだ。
犬はまるで毛虫に似ている。毛虫は自分の身を守りたいがために全身に毒の毛を生やし、自分に近づいて来る者は全て敵だと見なして毒の毛で傷つけて痛めつける。たとえそれが毛虫に全く興味を持たずに立ち去ろうとした者であっても、近づいた者は容赦なく毒の毛で攻撃する。犬もそのようにして自分を、家族を、あるいは群れを守ろうとして近づいて来る者は全て疑わしい敵だと見なし、犬に興味があろうとなかろうと吠えて威嚇し、時には噛み付いて傷をつける。
・吠えて来る犬と逃げていく猫
犬にも毛虫にも悪意はないし、みんな生存のために必死で、ただ本能の赴くままにやっていることなので罪もないだろうが、ぼくにとっては興味もない犬に吠えられるのはとても不快だし、興味もない毛虫の毛が自分の肌を傷つけるのは当然もっと嫌だ。
旅先では全く吠えない犬がちょこちょこついてきたりしてとても可愛い犬との縁や出会いもあった。石垣島の田舎道やラオスの宿、中国の秘境で出会った犬との交流は忘れがたく、いつまでもこの胸の中で大切に残っている。
この世には可愛い犬もいっぱいいるので一概には言えないが、それでも自分の人生で与えられてきた不快度や恐怖を総合的にふまえて考えると、ぼくは断然犬よりも猫の方が安心して一緒に過ごせる気がする。猫は犬のように人間を威嚇することは稀で、愛想のない猫や臆病な猫は近づいてもただ逃げていくだけだ。逃げていくだけだから吠えられた時のような不快もなければ害もないので、猫の方が安心して共存できると言えよう。しかしもしも泥棒よけとしてペットを飼いたいというのならば、犬というのは有用であるに違いない。