ぼくが納得いかなかったおねしょの問題。
修学旅行のおねしょには三環系抗うつ薬がいいというのは本当か?
・医師国家試験108回I69の夜尿症の問題
・正解は三環系抗うつ薬の内服
・不確実な三環系抗うつ薬
・おねしょした自分の姿を見られたくない願いを確実に叶えてくれるもの
・オムツの疑問
・医師国家試験108回I69の夜尿症の問題
11歳の男児。2週後の修学旅行を前に夜尿が治らないため母親と来院した。既往歴に特記すべきことはない。両親と姉と妹の5人暮らし。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球0~1/1視野、白血球1~4/1視野。腹部超音波検査で両側の腎と膀胱とに異常を認めない。
対応として適切なのはどれか。
a 経過観察
b オムツの使用
c 終日の水分制限
d 修学旅行への不参加
e 三環系抗うつ薬の内服
・正解は三環系抗うつ薬の内服
上記は医師国家試験108回I69の修学旅行前の夜尿症に関する問題である。皆さま正解は何かおわかりになるでしょうか?正解は公式の発表によるとe三環系抗うつ薬の内服らしい。三環系抗うつ薬には抗利尿作用があるので、2週間後というただちに対処しなければならない小学生のおねしょの問題に適しているというのだ。三環系抗うつ薬は1週間ほどで効果が現れるから適切だろうということらしい。
尿検査やエコーで明らかな異常は見られず、器質的疾患は除外されている。aはおいおいなんかしてやれよって思うし、cは修学旅行で脱水になって危険そうだし、dは患者の思いにそぐわないので不正解だろう。けれどぼくはずっとこのeという回答に違和感があった。
・不確実な三環系抗うつ薬
これって本当にeが正解なのだろうか?三環系抗うつ薬には2週間後の修学旅行でおねしょを止める効果は確かにあるのかもしれないが、それって100%絶対に効くものなのだろうか?100%効くと決まっている薬なんてこの世にはないだろう。もしも効かない方に転んで11歳の男の子が友達みんなの前でおねしょしちゃったらどうするのだろう。調べてみると三環系抗うつ薬は夜尿症の43.1%に有効と出てきたが、こんな2人に1人はおねしょ治らないかもさぁあなたは修学旅行でおねしょしちゃうかしないかどっちでしょうみたいな一か八かの対応で済むのだろうか。
・おねしょした自分の姿を見られたくない願いを確実に叶えてくれるもの
この子の最大の願いは、11歳になった自分がまだおねしょしているのだということを友達に知られないことなのではないだろうか。修学旅行でおねしょしてしまい、ぐしょぐしょにパジャマや布団を濡らしてしまった自分の恥ずかしい姿を友達には決して見られたくないという確固とした願いがあるのではないだろうか。その願いを100%確実に叶えてくれるのってbでは?とぼくは思ってしまうのだ。
三環系抗うつ薬でもおねしょを防いでくれる可能性はあるものの確実とは言い難く、もしかしたらみんなの前で盛大にお漏らしして恥ずかしい思いをする可能性だって割と残っているはずだ。それならばたとえおねしょしてしまっても、みんなにパジャマや布団をぐっしょり濡らした自分の姿を見られる可能性をかなり低くしてくれるオムツの方が、この子の願いを確実に叶えるのでは?とぼくは思ってしまうのだがどうなのだろう。
・オムツの疑問
ほずみ先生の解説ではbが不正解な理由に、11歳にオムツは酷であるって書いているけれどそうなのだろうか。不確実な対応をしてみんなの前でおねしょしてしまった姿をさらけ出す方がよっぽど可愛そうなのでは???そもそもオムツしてることってみんなにバレてしまうものなのだろうか。バレないように寝る前にトイレで着替えて、起きてからまたバレないようにトイレで着替えればいいのでは?それって結構大変なことなのだろうか。オムツしたことないからわからないけど。
大人用のオムツをすれば、もしも失敗してしまったとしてもきちんとすべての尿を吸収してくれ、布団も下着も汚れず、ああよかったおねしょしちゃったけれどみんなにバレずに済んだめでたしめでたしで一番確実に修学旅行でハッピーエンドにできる気がするんだけどどうなのだろう。もちろんその後の夜尿症の治療は修学旅行後にきちんと続けていくのだとしても。