雪の結晶が肉眼で見えるというのは本当か? 〜雪は天から送られた手紙〜

 

遠い昔に、掌に落ちた雪の結晶を見たような気がする。

雪の結晶が肉眼で見えるというのは本当か? 〜雪は天から送られた手紙〜

・幾何学模様の美しさと素晴らしさ
・イスラム建築のモスクの幾何学模様
・大自然により創造される幾何学模様
・天から落ちた雪の結晶を肉眼で見た思い出 〜雪は天からの手紙である〜

・幾何学模様の美しさと素晴らしさ

ぼくは幾何学模様が好きだ。何を意味するわけでもなく、ただ図形たちを組み合わせて、抽象的で味わい深い美しい世界が広がるのを見る時ほど心躍る瞬間はない。言葉や理屈からはるか遠いものほど、具体的なものたちから退いたものほど、ぼくの心は惹かれて行く。

たとえば目の前に美しい詩がひとつあったとして、その根底にあったであろう具体的な思い出とか、この言葉は何を意味しているのかと解釈を創造者に尋ねるような種類の人間は、野暮以外の何者でもない。

具体的なものが抽象的なものよりも優れているというのは本当か?

詩はそこに詩として存在しているからこそ、意味深く美しい。具体的な説明書きの論文ではなく、具体的な風景を模写したわけでもなく、いかようにも受け取れる宇宙のような空間を人々の心のうちに作り出すからこそ美しい。

 

・イスラム建築のモスクの幾何学模様

 

幾何学模様と聞いて、ぼくが真っ先に思い浮かぶのはイスラム寺院の世界だ。イスラム教のモスクでは偶像崇拝が禁止されているので、人々を祈りの場へと呼び込むために、抽象的な美しい幾何学模様をモスクにタイルとして貼り付けることにより、その独自の幾何学模様の芸術世界を形成させた。

ぼくが今までで旅したイスラム教の国といえば、マレーシアやモロッコ、インドネシアやイランなどだが、どの国のモスクも壮麗な幾何学模様に彩られ、いつまでも眺めていたいような気持ちになる。

 

その中でも、イランは最も美しい。イランほど、イスラム建築とそして人々の心が美しい国をぼくは未だに知らない。イランの素朴な人々が、権力者の争いに巻き込まれて傷ついてしまうことがあるならば、それは悲しくてやりきれないことだ。イランは「美しい」という形容詞だけではとても表現することができない、麗しく詩的な国である。ぼくは必ずこの一生の中でまたイランを訪れたい。

 

 

・大自然により創造される幾何学模様

イスラムの寺院のように人工の幾何学模様ももちろん美しいが、あらゆる人工の幾何学模様は、もとを辿れば大自然の中から探しだしてきたものなのではないだろうか。植物の中に、石の中に、大気の中に、海の中に、人々は古来より美しい幾何学模様を見つけては、それを真似してきたのではないだろうか。大自然とは、人間の大いなる先生ではないだろうか。

 

 

・天から落ちた雪の結晶を肉眼で見た思い出 〜雪は天からの手紙である〜

大自然の幾何学模様としてとても印象に残っているのは雪の結晶の美しい六角形の模様だ。幼い頃冬空の下、外で遊んでいるとぼくの手に雪が一粒落ちてきた。ぼくはその雪が、六角形の不思議な結晶の形をしていることを肉眼で確認し、興奮した。そうか、雪の結晶というものは、自分の目でも見えるくらい大きいものなのかと幼心に学んだ記憶がある。

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しかし時は過ぎて、あの時のような美しい雪の結晶を見たことは一度もない。雪はたくさん降るものの、天から落ちてくるすべてはいびつな形をしており、結晶とも美しいとも言えないような小さな白い塊だ。ぼくは自分の記憶を疑った。実は雪の結晶というものは、肉眼では見えないもので、ぼくが遊んでいる時に手の上に落ちた雪がはっきりと美しい雪の結晶の形をしていたのは、実は夢だったのではないだろうか。

調べてみると雪の結晶はたしかに人間の肉眼で見ることもできるが、それには天から地表まで冷えている必要があり、寒い地域に比較的多く見られる現象のようだ。ぼくの住んでいたのは太平洋側で特に寒い地域でもなかったが、あの日だけたまたま天も地表も冷えていたのだろうか。

幼かったあの日にしか肉眼で雪の結晶は見たことがないのに、ぼくは今でもその形と感動を忘れることができない。その思い出を今こうやって文章にしたためているほどである。ぼくは幼い頃から、幾何学模様が好きであるという性質があったのだろうか。大自然がこのような美しく緻密な芸術を作るのだという驚きと感動からだろうか。

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「雪は天から送られた手紙である」という、雪の結晶の研究家のさんのエッセイを思い出した。そしてそれに感化されて創られた青く美しい中島みゆきの夜会「ウィンター・ガーデン」の詩集も、雪の結晶のように味わい深く美しいということを。

 

 

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