金星が口から飛び込んだ!!!!!
空海とハウルの共通点!星を食べられるというのは本当か?
・空海が金星を食べたという不思議な伝説
・実際に空海が金星を食べた「御厨人窟」を訪れた
・全ての物質は星からできた
・「ハウルの動く城」でハウルは空からやってきた流れ星を食べた
・空海が金星を食べたという不思議な伝説
最近ぼくは四国お遍路の巡礼を行い、四国全土に散らばっている弘法大師(空海)にまつわる88のお寺を回ってきた。ぼくの故郷は空海が開いた世界遺産の高野山の麓にあるので、空海には馴染みがあったが、彼の人生を知るに当たっては司馬遼太郎の「空海の風景」が最適だった。彼が四国で生まれ、当時日本でひとつしかなかった大学にも進学し、にも関わらず儒教的なことばかり教える大学に疲弊し退学し、山野を放浪する仏教僧となり、その後に仏教を勉強するために当時の世界最大都市・唐の長安へと留学し、そこで外国人であるにも関わらず密教を伝授される者として選ばれ、日本に帰り密教を広めたという。
その紆余曲折ある複雑な歴史において、ぼくが「空海の風景」で最も印象的だったのは、空海が金星を食べたという伝説だ。彼は高知県南部の海沿いの洞窟で修行していたところ、夜空から突然明星(金星)が口の中に飛び込んできて、仏教的な悟りを開いたという伝説がある。
有名な偉人には色々な伝説がつきものであり、それには本当も嘘も多分に含まれていると予想されるが、それにしても星を飲み込んだという伝説なんて初めて聞いた!星を飲み込んだというのは何を暗示しているのだろうか。それとも何の暗示でもなく、本当に夜空の金星が空海の口の中へ飛び込んだというのだろうか。しかしそれによって悟りを開けるとはどういうことか。金星と仏教的な悟りに何の関係があるというのか。それでも星を食べるなんて、何となく素敵だ。そんな様々な感想を抱きながら、ぼくは空海が明星を食べたという伝説をやたらと気に入ってしまった。
・実際に空海が金星を食べた「御厨人窟」を訪れた
空海の口に明星が飛び込んできたという修行の洞窟は、今でも高知県南部に残されている。お遍路で回る第24番「室戸山 明星院 最御崎寺」から車ですぐのところにあり、ぼくたちはそれを見学できる。その洞窟は「御厨人窟」と呼ばれ、大切に守られている。
「御厨人窟」はぼくの予想に反して2つの洞窟が横並びになっており、ひとつが空海の生活した洞窟、もうひとつが修行用の洞窟だったという。洞窟というものは本来そのようなものかもしれないが、中は霊気に満たされているような感じがした。「御厨人窟」から外を見ると、まさに「空」と「海」の風景が広がっていて、空海とういう名前を彷彿とさせた。
・全ての物質は星からできた
先日全ての原子は星から生まれたという記事を書いたが、それならばぼくたちの周囲の物質は全て星からできた産物であり、金星を食べたという空海の伝説もあながちおかしなことではないのかもしれない。ぼくたちは日常的に食べ物を摂取することによって、星のかけらを食べているのだ。しかしぼくは人生の中で、あからさまに星を食べているという瞬間をもうひとつだけ目撃したことを不意に思い出した。宮崎駿監督の「ハウルの動く城」がそれである。
・「ハウルの動く城」でハウルは空からやってきた流れ星を食べた
「ハウルの動く城」で最も印象的なシーンといえば、ハウルが空からやってきた流れ星を手でつかまえ、流れ星を口から食べるという神秘的な光景だ。流れ星を食べることで、流れ星に自分自身の心臓を与え、流れ星と契約を結んだ。ハウルの心臓を与えられた流れ星こそが、ハウルの城を動かしている原動力となっている火の悪魔・カルシファーであり、その事実こそがハウルとカルシファーの契約の秘密だったのだ。主人公のソフィーはその契約の秘密を知った後、カルシファーからハウルに心臓を返すことに成功している。物語の最後には、ハウルは心を取り戻したのだった。
「ハウルの動く城」の原作はイギリスで生まれたようだ。宇宙からやってきた星を食べることにより、幻想的で神秘的な力を得られるという発送は、アジアであろうがヨーロッパであろうが世界共通、人類に底通する感性なのだろうか。ぼくは流れ星を食べるという伝説をこの2つ以外に知らないが、また人生の中で違った物語にも出会えたら面白いだろうと思う。