麗江の女警察官がめちゃくちゃ高圧的だった。
地位の高い者や権力のある者が高圧的で偉そうにふるまってもいいというのは本当か? 〜威圧的な人間は害悪〜
・儒教システムにより地位を高められる人々
・権力を持った人々の風景
・威圧的で高圧的だった中国の女性警察官
・他人に対して威圧的にふるまう人間は害悪
・儒教システムにより地位を高められる人々
すべての人間は平等であると、ぼくたちは小さい頃から教えられる。
しかし儒教に支配されたこの極東の島国に住んでいると、それはまったくの嘘偽りであるということに気がつく。儒教的社会の中では、1年早く生まれただけでそれがどんな人間であろうと自動的に目上となり、目上の人間に自分の意見を率直に言うことすら否定され、次第に上からの命令を大人しく聞く都合のいい人間が量産されていく運命にある。そして自分の生命を炎を燃やすように生き抜くことを忘れてしまう。
儒教的社会の中の“先輩”と呼ばれる人々や、“上司”と呼ばれる人々に大人しく従うことによって、議論や主張を極力避けることによって、日本の社会は円滑に回っていく。
・権力を持った人々の風景
また儒教的な階級に留まらずに、この社会には権力のある人間と虐げられられる人間とに分けられることがしばしばある。民主主義のこの社会では多くの人々に影響を与えうる人間には権力があり、人々に情報を垂れ流すことが可能なマスメディアや、金を使って沢山の広告宣伝を行使できる人々、多数の人々に注目されるように仕向けられた芸能人などは、権力がある種類の人間と言えるだろう。
また人間の群れを調整したり押さえつけたりコントロールする力を持っている人々も権力があると言えるだろう。人々の健康問題に対してその知識に基づいて判断したり裁いたり治療したり、時には手術までできる医者も権力のある種類の人間と言えるだろう。社会の決まりや税金という名目で人々から金を無理矢理吸い上げるシステムを支配できる国会議員や市町村も権力者だろう。
ぼくが最近実際に権力者というものに対峙したと感じたのは、中間民共和国においてビザを延長する際にやけに威圧的だった女性警官である。
・威圧的で高圧的だった中国の女性警察官
日本人は中国にビザなしで15日間滞在できる非常に稀で幸運な民族だ。ぼくはずっと憧れていた中国・雲南省にやってきて、その素晴らしさにとても15日では足りないと判断し、中国国内でビザの申請をすることを決めた。中国でビザを取得するためには、公安(警察署)へ行く必要がある。
その時に対応してくれた女性警察官が必要以上に威圧的で高圧的で偉そうだったので驚いた。一体なんのためにあんなに威圧的なのだろうと不思議に思ったほどだ。こちらが笑顔で丁寧に善良にふるまっているのに、あちら側から返される態度が威圧的なのでとても疲弊してしまった。どうして丁寧な態度で接している人に対して、高圧的に返すことができるのだろう。その神経の構造がまったくわからないと感じた。
中国では町中のいたるところに公安がある。公安では警察が常駐し、警察官は市民をいつも見張っているように見える。これは日本や他の国々では見られなかった光景だ。また町中やホテルの中、バスの中、電車の中にさえ監視カメラが設置されており常に監視されているような雰囲気だ。中国の街は驚くほど綺麗で、清潔で、人々も礼儀正しいが、それもこれもすべて警察が常に見張っているからではないかと思わないこともない。
中国に来て初めて警察の権力の大きさを感じとることができた。日本にいると警察と関わり合いになることがないのでわからなかったが、よく考えてみれば人の自由を奪って逮捕できるのだからものすごい権力の持ち主である。ビザの時の女性警察官が無駄に威圧的だったのも、その権力を誇示するためなのだろうか。
ぼくはその威圧的な女性警察官に違和感を抱きつつも、大人しく威圧的な言葉たちを聞き続ける他はなかった。彼女の機嫌を損ねてしまえば、ぼくはビザを発行してもらえなくなるからだ。ビザを発行する権力のある者と、ビザを取得したいだけのただの日本人。ぼくはこの場面においてぼくには権力がまったくないことを痛感し、警察という権力者にひれ伏すより他はないとうなだれるしかなかった。
・他人に対して威圧的にふるまう人間は害悪
この女性警察官に限らず、地位の高い者や権力のある者が、必要以上に威圧的、高圧的で偉そうにふるまう場面をぼくたちは社会において度々目撃することがある。儒教的社会の日本においては、先輩や上司がわざわざ威圧的な態度で迫ってくる経験をした人も多いのではないだろうか。あの無駄な威圧的で高圧的な態度は、いったい何のために発生させているものなのだろうか。
自分が人間社会において地位が高く、権力もあるから威圧的で偉そうにふるまってもゆるされる存在だと思っているのだろうか。もしそうならばなんとも傲慢な質の悪い人間である。相手が丁寧に誠実な態度で接して来ているというのに、それに対して自分の方が地位が上だからと威圧的に接するなんて、ろくでもない人間以外の言葉が思いつかない。
丁寧で誠実な態度で接して来られたら、丁寧で誠実な態度で返す。それが赤ちゃんや子供ですらわかる人間として最低限のマナーではないだろうか。そのような当たり前のことも理解できずに、自分の権力や地位をふりかざすように偉そうにふるまうなんて、その人の人間そのものとしての価値が著しく低いことを自ら証明しているようなものではないか。
丁寧で誠実な態度を取れる人を目の前にして、無意味に横暴な態度でふるまい、人々を不快な気持ちにさせるような種類の人々は害悪でしかない。そんな感想を抱きながら公安を後にしようとすると、なんと公安にはでかでかとこのような文字が掲げられていた。
「保持高圧姿勢」
ああ、あの女性警察官の態度は、警察全体の目標だからしかたないものなのかと脱力した。しかし他の警察官は優しく接してくれていたので、これはあの女性警察官個人の人格の問題だと思えないこともない。それにしても高圧的な姿勢を保つことを目標にする集団なんてはじめて見た。いったいなんのために高圧的であることを目標とするのだろうか。