藤木はかわいそう!ちびまる子の藤木の性格が元々卑怯だったというのは本当か?

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藤木は途中から卑怯にさせられた!!!!!

藤木はかわいそう!ちびまる子の藤木の性格が元々卑怯だったというのは本当か?

・ちびまる子ちゃんでは「藤木=卑怯」の方程式が成り立っている
・藤木の性格が元々卑怯だったというのは本当か?
・第1期のただただ暗いだけの藤木の名作エピソード
・藤木ひきょうのテーマ「ひきょう者」は名曲

・ちびまる子ちゃんでは「藤木=卑怯」の方程式が成り立っている

アニメちびまるこちゃんのクラスメートには、藤木という男の子がいる。本名は藤木茂(ふじきしげる)と言い、長身で唇が青く、やや気弱な表情をしているのが外見的特徴だ。そんな藤木のアイデンティティはなんと言っても「卑怯」である。ちびまる子ちゃんの中では、とにかく藤木といえば卑怯であり、卑怯といえば藤木なのだ。「藤木」と「卑怯」という2つのワードは切っても切れない関係にあり、それこそが藤木のキャラクターの売りになっているという気配すらある。

藤木の代名詞と呼ばれるほどになった「卑怯」という性格が定着するきっかけとなったのはアニメ第2期第34話「まる子 きもだめしに出かける」という物語だった。その名の通りまる子たちがお墓で肝試しをするという回なのだが、その時にまる子と藤木が2人でペアとなり肝試しに参加する。2人で夜の墓地を歩いていた時に、遠くの方で山田が燃えた提灯を振り回していたのを人魂だと勘違いして恐怖におののいた藤木は、まる子をひとり残して逃げて帰ってしまったのだった。女の子をひとり墓地に残して帰宅してしまったという痛恨のミスをきっかけに、次々と「藤木=卑怯」のストーリーが展開されることとなる。

藤木の卑怯回の代表作は、なんと言っても第110回「藤木のひきょうを直す会」だ。なんと藤木の卑怯な性格を直そうと、まる子や永沢君や山根や小杉がわざわざ「藤木のひきょうを直す会」を開催してくれるというのだからありがたいのやら何やらわからない。特に永沢君はその会の中心人物的な存在であり、藤木の卑怯を直すために人相の本まで購入し、人相の観点から卑怯についての考察を深めるが、卑怯な人相の図がそっくりそのまま藤木の顔でみんな唖然としてしまう。結局は藤木の卑怯な性格は両親からの親譲りだということがわかり、それならば卑怯な性格はどうしようもないねということで終わってしまうのだった。

 

 

・藤木の性格が元々卑怯だったというのは本当か?

しかしアニメちびまる子ちゃんを最初から見ていると、藤木は決して放送開始当初から卑怯な性格だったわけではないことがよくわかる。藤木は放送が進むにつれて、徐々に卑怯な性格が”付け加えられ”ていったということが、ちびまる子ちゃんを最初の回から見ているとよくわかる。では藤木は最初はどのようなキャラクターだったのだろうか。ちなみに藤木とよくつるんでいる永沢君との関係は最初はどうだったのだろうか。

今や国民的アニメとして確固たる地位を築いている「ちびまる子ちゃん」だが、実は今放送しているのは1995年から始まった第2期のシリーズである。その前に第1期として1990年から始まった大人気シリーズが本来の予定通り1992年に一旦終了し、1995年から第2期が始まってから今に至るという歴史がある。

実はちびまる子ちゃん放送開始当初の第1期では、藤木は全く卑怯な性格ではなかった!まさに卑怯の「ひ」の字も出てこないような状況だったのである!では第1期ではどのようなキャラクターだったかといえば、ただ単に暗くぼんやりとしている少年という印象だった。影が薄く、陰鬱な少年だったので目立つことはなかったが、その暗さがなかなかいい味を出していてぼくは好きだった。「卑怯」などという性格を後から植え付けられてクラスメートみんなから非難され、人間関係のしがらみの嫌な側面をアニメの中でさえ見せつけられるくらいならば、ぼくは藤木は暗い少年のままでよかったのではないかとさえ思ってしまう。

では藤木はいつから「卑怯」になったのかといえば、明らかに第2期が始まってからである。第2期は第1期と比べて物語にふくらみを出すために、第1期にはいない様々な新しいキャラクターが追加されていった。山根や小杉、野口さんや城ヶ崎さんや笹山さん、それに佐々木のじいさんや川田さんなどはすべて第2期から急に登場した新キャラクターだ。それに加えて第1期に既に登場していたキャラクターたちにさえ、話を面白くするために新しい性格が敢えて付け加えられていった。藤木の卑怯な性格が、まさにその典型例である。

藤木ばかりではなくいつも一緒にいる友達の永沢君でさえ、第2期には性格が変わってしまっていた。永沢君も第1期では藤木と同様に、ただの暗く陰鬱な少年だったのだ。ただ永沢君には「家が火事になった」という強力なキャラクター設定があったので、第1期では藤木よりも目立っている印象だった。ただの暗いだけだった永沢君が、第2期では卑怯な藤木を責めまくる陰湿でキツい性格が付け加えられたことは非常に残念だ。ぼくは第1期の素朴で暗い永沢君の方が安心して見ていられて好きだった。

物語の幅を広げるために、第2期で様々な性格が新たに付け加えられることは、ちびまる子ちゃんの歴史を支えるために必要な処置だったのかもしれないが、その方向性が「藤木を卑怯にする」とか「永沢君を意地悪にする」とか、そういうジメジメした人間関係を生み出す陰険な方向へと進んでいたのは非常に残念だと今でも思う。これはきっと作者の根本的な性格の部分が隠しきれずに作品に露わになってしまったのだろうとぼくは推測する。第1期の嫌味のほとんどないただただ馬鹿馬鹿しさを純粋に追求していたちびまる子ちゃんの方が見ていてはるかに楽しいし心から笑えると感じられる。

 

 

・第1期のただただ暗いだけの藤木の名作エピソード

第1期のただただ暗いだけの藤木と永沢君のエピソードは実に面白いものが多い。

第1期第109話「みどりちゃんのバレンタインデー」は珍しく藤木がモテる回である。他校の変な顔の女子のみどりちゃんがスケートを上手に滑っている藤木に一目惚れをしてしまい、まる子が世話焼きバアさんのような役割を果たして2人の仲をとりもつ。藤木は第1期ではただの暗いぼさっとした少年なので、今日がバレンタインデーだということも忘れてみどりちゃんから渡されたプレゼントの意味も最初はわからずに困惑しているというのも、そのぼさっとしている加減がよく表れていて面白い。結局みどりちゃんは藤木とまる子が付き合っているのだと勘違いして泣く泣く藤木を諦めようとするというとんでもない結末の回だった。

 

第1期第95話 「お父さん8ミリカメラを借りてくる」では藤木と永沢君の暗くぼさっとしている加減が頂点に達していて面白い!まる子のお父さんが8ミリカメラというビデオ映像を撮影する機械を知り合いから借りてくるのだが、ビデオに映りたいのに何をしたらいいのか見当もつかない藤木と永沢君は「適当に笑ったり動いたりしてごらん」というお父さんの助言に従うと、奇妙キテレツなどこの国のものともわからない変な踊りを披露して周囲を困惑させるのだった。暗くて内気な少年たちの性質がよく表現されていて興味深い。

 

また藤木と永沢君の友情が如実に描かれているのは、第1期の名作中の名作である永沢君の家の火事シリーズである。第117話「永沢君ちの火事見舞い」の最後の場面では、永沢君のプラモデルが火事で燃えてしまった場面が映し出される。そのプラモデルは永沢君が藤木とどちらが先に作れるか競争していたものだった。そこへ颯爽と登場した藤木!永沢君を気の毒に思った藤木は頑張って完成させたプラモデルを「ぼくは永沢君に何もしてあげられないから、このくらいしか君を励ます方法が見つからないんだ」と言って永沢君にプレゼントする。とても美しい素朴な友情の場面だった。

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・藤木ひきょうのテーマ「ひきょう者」は名曲

このように第1期では藤木は卑怯でもなんでもなく、永沢君は陰険でもなんでもなく、暗くてもただただ純朴で優しい少年たちだったのだ。第1期の永沢君と藤木は、純粋にとても仲が良くその友情は微笑ましかった。そのような優しく素朴な雰囲気が一変し、第2期では陰湿で陰険な関係性が全面的に提示されていることに、ぼくはとても残念な気持ちと不信感を抱いている。なぜこの素朴で地味な友情を2人に残してやらなかったのだろうか。

藤木を卑怯な性格に仕立て上げる他に、ちびまる子ちゃんの第2期の物語性を膨らませられるもっといい方法はいくらでもあったのではないかとぼくは疑ってしまう。しかしぼくはちびまる子ちゃんを作っている人間ではないので何も言えまい。藤木が卑怯な性格に徐々に変更されていったことは残念であり、それに伴いちびまる子ちゃんのアニメの雰囲気自体が陰湿になってしまったのはもっと残念だったが、それでも藤木ひきょうのテーマ「ひきょう者」の歌はすごく面白い最高の出来だと今でも思う。

どうせこの世は裏切りだらけの砂漠さ
だからオイラはすぐ逃げるのさ

ひきょう これがオイラの弱みさ
ひきょう ズルいオイラのすべてさ

という歌詞はいつ聞いても笑ってしまう名曲である。

 

 

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