タヌキもキツネも人間を化かす!
日本昔ばなしのタヌキ、キツネの特徴とは?!タヌキとキツネが人間を化かすというのは本当か?
・アニメの日本昔ばなしを見るメリット
・日本昔ばなしにはタヌキとキツネの話がめちゃくちゃ多い!
・キツネって今でも日本にいるのだろうか
・タヌキの特徴、キツネの特徴
・「タヌキ=縄文人」「キツネ=弥生人」?
目次
・アニメの日本昔ばなしを見るメリット
ぼくはアニメの日本昔ばなしを見るのが好きだ。大昔にテレビでやっていたのをそのまま見るのも大好きだったが、放送が終了してしまってからはYouTubeで検索し見ることにハマっている。インターネットとは便利なもので、自分がどうやったって見られるはずもなかった生まれる前のお話まで見られるからありがたい。
日本昔ばなしを見ているとアニメとして楽しむだけではなくて、日本の様々な地域における言い伝えや日本の神様の性質にも詳しくなり、楽しみながら教養が自然と深まり、その結果日本を旅していても民俗学的な知識が発揮されることが実に多いことだ。
例としては山の神様が女の醜い神様であるということは、日本昔ばなしで学んだ知識だ。それを知っていると日本を旅して、山の神様の神社を訪れたときに興味や親近感が湧く。また山の神様が男性器が好きだというのは本で学んだが、それも山の神様が醜い女性の神様であるという日本昔ばなしの知識を事前に持っていると納得しやすいものがあるだろう。そして日本を旅していると、山の神の神社に木造の巨大な男根が祀られているのを目撃したりするのだ。
・日本昔ばなしにはタヌキとキツネの話がめちゃくちゃ多い!
日本昔ばなしにも様々な種類の話があるが、その中でもタヌキが人間を化かした、またはキツネが人間を化かしたというのがめちゃくちゃ多い!タヌキもキツネも、本当に古代日本では自由自在に変身できたのではないかと疑ってしまうほどに、タヌキとキツネの物語は枚挙にいとまがない。
タヌキとキツネが変幻自在に変身し人間を騙すという物語は日本昔ばなしの典型すぎて、ついにはジブリの映画にもなってしまった。高畑勲監督の「平成狸合戦ぽんぽこ」というのがそれである。タイトルは狸合戦だが、キツネもしっかり出てくる。タヌキもキツネも、日本昔ばなしに出てくるだけでは飽き足らず、平成でついに映画にもなってしまったのだが、日本人のタヌキキツネ好きには驚かされる。
・キツネって今でも日本にいるのだろうか
しかしあんなにも日本昔ばなしに出演しているタヌキとキツネだが、不思議なことに普通に日常生活を過ごしていてもタヌキもキツネもあまり見たことがない。昔はもっと数多くのタヌキやキツネが日本にいたのだろうか。
正確に言うと、タヌキというのはたまに見る。おばあちゃんの家の近くの溝にタヌキが住んでいたのを幼少時代に目撃し、レッサーパンダのようだ可愛い飼いたいと興奮してお母さんにねだったことは深く記憶に残っている。また四国で車中泊お遍路の旅を決行している際にも、夜の山道でタヌキがちょこちょこちょこと走って逃げる姿を目撃しているし、その他でも日本の人気のない場所ではタヌキはちょくちょく目撃した。
しかしキツネはどうだろうか。ぼくは日本をほぼ一周しているが野生のキツネを未だかつて見たことがない。北海道ではたくさん見かけるが、北海道以外は本当に見ない!キツネって、本当に北海道以外の日本にいるのだろうか?あんなに頻繁に日本昔ばなしで取り上げられている動物なのに、こんなに見かけることがないというのはぼくの中では不思議でならない。昔は日本にもキツネはいっぱいいたけれど、数が減少してしまったのだろうか。
・タヌキの特徴、キツネの特徴
日本各地で野生のタヌキを見て、北海道でたくさんのキタキツネを見て、ぼくは動物にも、賢いのとあんまり賢くないのがいるのかもしれないなぁと感じつつある。タヌキとキツネって、皆さんどんなイメージだろうか。ぼくの中ではタヌキはのんびり屋、ぼんやりしている、ボケーッとしている、丸くて太っている、田舎っぽい、穏やかで優しいといったイメージだ。それに対してキツネは頭がいい、スマート、気が利く、都会的、ズル賢いというイメージだ。これらは日本昔ばなしやその他のアニメの影響が多大にもたらされた結果だろう。
そして実際にぼくが野生のタヌキやキツネを観察していると、本当にこのイメージの通りだと感じるところが多かった。まず、タヌキは結構おバカさんなのではないだろうかと思う。車が来ても、サッと道の横の茂みに逃げないで、車の進む方進む方へとちょこちょこ逃げていくから、運転手のこちらも轢かないようにゆっくり走らなければならなかった。そのお間抜けな姿は愛らしく可愛かったが、これでは他の車に轢かれはしないだろうかと心配でもあった。そして実際に、タヌキというのはよく道で車に轢かれている。タヌキというのは、おそらく車からの逃げ方を知らないのだ。のんびり穏やかにしているうちに急に車が来て、どのように逃げるべきかを知らずにそのまま轢かれてしまうのではないだろうか。それに引き換えキツネが車に轢かれている姿というは全く見たことがない。ぼくが見る限り、キツネは車が来てもサッと道の横の草むらへと機敏に逃げ込んで、賢く車から退いている印象だ。
北海道で出会ったキタキツネはどれも好奇心旺盛で人間をよく観察していた。タヌキのようにただただ怯えて反射的に逃げるわけではなく、キツネはしっかりとこちらの方を向き、興味を持ち、時には近づいたりもしてきた。ぼくの中では明らかにキツネの方が賢く知性があるような印象を持った。そしてそれは、日本昔ばなしからのイメージとぴったり重なるものだった。
・「タヌキ=縄文人」「キツネ=弥生人」?
ぼくが近頃感じるのは、「タヌキ=縄文人」「キツネ=弥生人」というイメージがものすごくしっくり来るのではないかということだ。日本人は縄文人と弥生人の末裔から構成されていると言われるが、昔から日本でこんなにもタヌキとキツネが物語の主役としてもてはやされたのは、自分たちの2大先祖である縄文人はタヌキ的であり、弥生人はキツネ的であると、潜在的に直感的に見抜いたからではないだろうか。
昔中島みゆきのオールナイトニッポンで、中島みゆきはタヌキ顔で松任谷由実がキツネ顔だと言われていたらしい。中島みゆきと松任谷由実は、その時代ライバル同士と言われていたようだ。暗い歌を歌う田舎出身の中島みゆきと、明るい歌を歌う都会的なユーミンという対比は、比較しやすく世間も面白がっていたようだ。
人間はとかく物事をわかりやすく極端に2つにわけて比べたがる。縄文人と弥生人、タヌキとキツネ、中島みゆきと松任谷由実…そこにはなんだか日本人が古来より比べたがった2つの要素が潜在的に凝縮されているような気がしてならない。