医学部受験に女性差別や多浪差別、再受験差別があるというのは本当か?
・医学部入試に女性差別や多浪差別、再受験差別があるというのは本当か?
・医学部入学試験には必ず面接試験が設けられている
・医学部合格に必要なのは学力だけではない
・医学部受験の差別が思いがけない出来事だというのは本当か?
目次
・医学部入試に女性差別や多浪差別、再受験差別があるというのは本当か?
ぼくは国立医学部に入学して卒業し、医師免許を取得した人間なので、当然医学部の大学入試を経験した。最近一部の医学部入学試験に関して、女性差別をしたり多浪(2浪以上)差別をしたりする大学が存在するということが話題になっている。純粋に学力を競い合う受験戦争において学力以外の面で差をつけられるというのは常識的に考えればにわかには信じがたいが、本当に入学試験に差別なんてあるのだろうか。また受験生はその差別の存在を本当に知らないのだろうか。
・医学部入学試験には必ず面接試験が設けられている
日本のほとんどの医学部入学試験はその他の学部と違って、学力だけで判断されることはない。医学部入試には学力を測る試験の他に”面接試験”が用意されており、その面接試験にも一定の比率で点数が設定されている。
つまり例としてAさんの学力試験が100点でBさんの学力試験で80点だったとしても、Aさんの面接試験が0点でBさんの学力試験が50点だったならば、Aさんの方が学力は高いのにBさんの方が医学部に合格してしまうというケースもあるということだ。医学部入試というのはこのような曖昧で危険な面を常に含んでおり、医学部受験生も皆そのことをきちんと知っている。
医者になるためには学力だけではなくその人格もきちんと判断しなければならないと見なされているということが、ほぼ全ての医学部に面接試験が設けられていることからよくわかる。もしも病院で自分の命を預ける医者が、ものすごく変で人格崩壊している人間だったら困るだろう。それゆえに面接試験は医学部入試に必要な項目だと思われるが、面接試験の存在は同時に、大学側が割と自由に受験生の点数を調整できるということをも意味しているのかもしれない。
女性だから、長年浪人している多浪だから、一度大学を出て年をとっている再受験だから外国人だからという理由で、面接の点数を落とされればなんとも理不尽なことだが、面接という科目が設定されている以上、そのようなことが起こり得ないことはないということを、医学部受験生はよく知っているはずだろう。入学試験に面接試験が設けられている以上、医学部入試の点数は学力だけではなくある程度大学側の主観的な基準に委ねられてしまうことは明白なのだ。
・医学部合格に必要なのは学力だけではない
ぼくが医学部受験生の頃にも確信はないにしても、この大学は女性に厳しい、この大学は多浪を入学させにくい、この大学は再受験を入れないという情報が、今までのデータからきちんと導き出され存在していた。そのような情報を入手し、自分がなるべく高確率で入学できそうな大学を適切に選び取ることも、医学部入試を勝ち抜くための重要なコツなのだ。そしてそのことを、医学部受験生なら誰もが承知の上だろう。
医学部受験というのは、勉強だけを必死にやっていればいいというわけではない。もちろん医学部に入学するためにはかなり高い学力が求められるので勉強を頑張るのは当然のことだが、それと同時に各大学の医学部の情報を収集し、自分はどの大学に入りやすい傾向があるかを吟味しておくことも必要なのだ。
・医学部受験の差別が思いがけない出来事だというのは本当か?
そのような事情のある医学部受験を通り抜けてきた者として、医学部入学試験の女性差別や多浪差別が問題になっているというのは少し不思議な気持ちだ。女性が入りにくい大学、多浪が入りにくい大学が存在するという知識は医学部受験の常識として受験生の間で共有されていたものなので、事前にきちんと調べて自分がそれに当てはまるならそこをなるべく受けないようにするのが、医学部受験の合格への道として自然なものと感じられるからだ。
医学部受験をしたことのない人々からすれば「差別とはなんてひどいことを!」と感じられ世間では問題になっているのかもしれないが、医学部受験を実際に通り抜けてきた人ならばそんなものなんじゃないのという気持ちを抱いている場合がほとんどではないだろうか。女性差別をしない医学部、多浪差別をしない医学部なんて日本にたくさんあるのだから、集めた情報をもとにしてそこを選択すべきだったのではないだろうか。与えられた条件の中で勝ち進んでいく道を自分で見つけ出していくのも、医学部受験の風景だろうと感じられる。