オリンピックでボランティア?!医者をタダ働きさせてもいいというのは本当か?

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医者はたまに「ボランティア」という善意を強要され、タダ働きさせられる!!!!!

オリンピックでボランティア?!医者をタダ働きさせてもいいというのは本当か?

・医者になるための道のりは決して平坦ではない
・医者をボランティアでタダ働きさせてもいいというのは本当か?
・宮古島でのボランティア体験談1「全日本トライアスロン宮古島大会」
・宮古島でのボランティア体験談2「宮古島ロックフェスティバル」
・ボランティアをする人間は素晴らしいというのは本当か? 〜ボランティアというまやかしの言葉〜

・医者になるための道のりは決して平坦ではない

医者というのは大きな責任を伴う職業である。もしもの時は人の命に関わる場合もあり、医者もそれを自覚して責任感を持って仕事をしている。人の命や病気を扱う仕事なのだから、そこらへんの適当な人に頼めるはずもなく、医者になるためには非常に高い知識と教養と人間性を求められる。大学の医学部医学科の偏差値が軒並み極めて高いという事実が、それを裏付けている。

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また難関の医学部医学科にめでたく入学できたとしても、大学生活は授業と実習と実験とレポートと試験の繰り返しだ。それが6年間終わることなく続く。医学部ではひとつでも試験を落とすと留年して医者にはなれないので、不真面目な学生生活を送ることは許されない。

大学に入るまでは学習に努め高い偏差値を維持し、大学に入ってからはそれまでよりもさらに膨大な量の勉強を積み重ね、医学の専門知識を十分に身につけてからやっとの思いで医者になることができるのだ。医者になるというのは決して簡単な道のりではない。

 

 

・医者をボランティアでタダ働きさせてもいいというのは本当か?

最近は東京オリンピックのために医者がボランティアとして募集されていたことが話題になっていたが、このように相当努力して得た専門知識を無報酬で募集しても果たしていいのだろうか。さらに言えば医者の労働というのは命に関わるが故かなり大きな責任と心労を伴うが、それを無報酬でやってほしいと感じる神経がまずよくわからない。オリンピックでたくさんお金を儲けているんだったら、それを大きな責任感を持って現場で労働する医者に還元するのは決しておかしな話ではないだろう。

医者というのは優しくて真面目で責任感が強い人が多いから、「ボランティア」という名前を出して募集すれば簡単に専門知識を持った無料で労働してくれる人を集められるというのだろか。しかし医者というものはたまにこの「ボランティア」というのを頼まれる運命にある。ここではぼくが医者として働いていた時に「ボランティア」を強要された話をしようと思う。

 

・宮古島でのボランティア体験談1「全日本トライアスロン宮古島大会」

ぼくが沖縄県の宮古島の病院で働いていたときに、1年間を通して2回ボランティアを募集される機会があった。それは「全日本トライアスロン宮古島大会」と「宮古島ロックフェスティバル」である。

そのうちトライアスロンの方は、有無を言わせず医者全員参加の強制のボランティアだった。もはやこちらがやると言う前からボランティアをすることは決定されており、勝手にシフトが組まれていた。宮古島のために医者全員で尽力しようというのだ。もちろん給料は出ない無償の労働だった。

トライアスロンという過酷なスポーツを猛暑の宮古島の気候の中で行うのだから、脱水になったりひどくなると横紋筋融解症になったりする人が続出し、大会当日は病院が軽傷のトライアスロン患者で埋め尽くされることとなった。普段でもたくさん患者さんが来て忙しい病院なのに、それに加えてトライアスロンの人が次々に運ばれてくるので病院側としては大迷惑なのだが、宮古島の大切な催し物だからと医療従事者たちは文句も言わず善意で治療していた。

しかしなんとトライアスロンは参加費として1人あたり45000円を徴収しているという!たっかー!!!!!トライアスロンってそんなするの?!そんなにお金を儲けてるんだったら、専門知識と強い責任感を持って労働している医療従事者たちにお給料を配ればいいのにと思わずにはいられなかった。そんなにお金を儲けているのに、なんで無償で労働を提供されて当たり前という雰囲気になっているのか理解できなかった。

病院側だってどうしてこんなボランティア形式を許しているのだろう。何か裏で政治的に繋がっておりどこかで損得が一致しているのだろうか。はっきり言って医者は日常の業務で疲弊しているので、無償で休日出勤することほどつらいものはない。休めるときには休みたいのだ。それが過酷な労働環境で自分を保つための唯一の術である。自分の専門知識と貴重な休みの時間と体力が「ボランティア」という耳障りのいい言葉にごまかされてただただ搾取されているだけだと感じざるを得なかった。

 

 

・宮古島でのボランティア体験談2「宮古島ロックフェスティバル」

宮古島ロックフェスのボランティアは立候補制だった。行きたい医者はボランティアで医療活動をすれば、暇な時間は宮古島ロックフェスが無料で見られるという特典付きだった。無料でロックフェスが見られるというおまけ付きなのでトライアスロンよりまだマシだと言えるが、ぼくはどんなに上の医者から勧められてもこれに参加しなかった。他の若い医者や、儒教の習いにしたがって上のことを大人しく聞くような医者は参加していたが、ぼくはこのボランティアに関しても怪しさを感じずにはいられなかったのだ。

ロックフェスだってチケット代や駐車場代でたくさんお金を儲けてたくさん利益を出しているはずだ。それをなんで専門知識と責任感を持って労働する医者たちに還元しないのか全く理解できなかった。ぼくたちは「ボランティア」という言葉を神格化しすぎではないだろか。ボランティアをすれば素晴らしい人になれる、ボランティアをすれば人間としての格が高まる、ボランティアをすれば尊敬される人物像になれると世の中では思い込まれているが、果たして本当にそうだろうか。

 

 

・ボランティアをする人間は素晴らしいというのは本当か? 〜ボランティアというまやかしの言葉〜

ぼくは宮古島での医者としての経験を通して「ボランティア」というのはすごく怪しいなと感じるようになった。それは本当はお金を払うことができるはずなのに「ボランティア」という善意にあふれた正しそうな言葉で人々の心を操り、支配し、無償で労働させて得をしようとする支配者側の企みではないだろうか。宮古島の経験からしても、東京オリンピックを見ていてもそのように感じられる。本当はお金を払えるのに人々の善意を利用してすがりつき、お金を払わないで済む節約のための魔法の言葉が「ボランティア」だ。

ボランティアをすると自ら申し出るのは確かに素晴らしい人々だろう。しかし自分の生きている貴重な時間を労働にあてがい、自らの専門知識と責任感をもって人々に奉仕するのなら、そのお返しに給料をもらうのは当然という感覚はしっかりと持ち合わせているべきだ。思考停止していれば「ボランティア」という社会的に正しそうな言葉にごまかされ、操られ、支配され、目に見えぬ支配者から自らの生きる時間と労働力を搾取される結果になるだろう。優しさや、善意や、慈悲の心は結構なことだが、それを利用してうまく操られたり支配されたりして、自分自身を大切にできなくなる危険性を心の片隅で常に敏感に感じ取らなければならない。

ボランティアに強制参加させられるとか、強要されるというのはもはや正気の沙汰ではない。それはただ支配者が、無償で労働するように民衆たちを「ボランティア」という綺麗な言葉で都合よく利用しようとしているだけだと理解すべきである。

 

 

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